🧭 導入|数字の裏にある「意味」を掴もう
NPPVの画面に並ぶ、IPAP、EPAP、そしてΔP(デルタ・ピー)という文字。
「先生の指示通りに設定したけれど、実は何を変えているのかよく分かっていない……」
そんな不安を今日で終わりにしましょう。
NPPVの設定は、突き詰めると「酸素化」と「換気」しかありません。
今日はNPPVの設定について解体していきます。
NPPVの導入やマスクフィッティングについてはこちら

① EPAP:酸素と循環を整える
EPAP(呼気終末陽圧)は、息を吐ききった時に肺にかかっている圧です。
- 本質:肺胞を開いておく力(PEEP)つまり、表現が違うだけでEPAP=PEEP=CPAPです。
- 役割:
- 酸素化の改善:潰れそうな肺胞を膨らませて、酸素の通り道をキープします。
- 心不全への介入:胸腔内圧を上げることで、心臓への戻り(前負荷)を減らし、アップアップな心臓を助けます。
みなみ「SpO₂が低い」「心不全で肺に水が溜まっている」……そんな時は、この**EPAPという『酸素・循環を支える設定』の出番です。
② IPAP:換気を押し上げる


IPAP(吸気時圧)は、息を吸う時にグイッと押し込む圧です。
ここで重要なのが、**ΔP(デルタ・ピー:差圧)**という考え方です。
- 本質:換気量を決める力(Pressure Support)
- 計算式:IPAP - EPAP = ΔP(サポートの強さ)
- 役割:
- CO₂を飛ばす:この差圧(ΔP)が大きければ大きいほど、一回換気量が増え、二酸化炭素を効率よく吐き出せます。



「CO₂が溜まっている」「呼吸回数が多くて疲れている」……そんな時は、IPAPを上げて**ΔPという『換気・お助け設定』の出番。
③ 疾患別・設定の「攻めどころ」
患者さんの病態によって、優先すべき設定が変わります。
| ターゲット疾患 | 優先するノブ | 狙い |
| 心不全・肺水腫 | EPAP | 肺胞を開き、心負荷を減らす |
| COPD増悪 | IPAP (ΔP) | 疲れた呼吸筋を助け、CO₂を吐かせる |
| 睡眠時無呼吸 | EPAP | 物理的に気道の閉塞を押し広げる |
④ 現場での調整ルール:2〜5 cmH₂Oのステップ
設定は「一回決めて終わり」ではありません。文献にもある通り、患者さんの反応を見ながら微調整します。
- まずは「心地よさ」優先:最初から高圧だとパニックになります。
- 変化は「2〜5 cmH₂O」ずつ:一気に変えず、患者さんの表情と呼吸数、モニターの換気量(TV)を見ながらステップアップします。
- 1時間後の答え合わせ:血ガスや努力呼吸の改善を見て、設定が適切だったかを確認します。
血ガスを簡単に観るための参考記事はこちら


※設定変更は医師の指示、および各施設のルールにしたがって行ってください。
🧠 まとめ:NPPVは「圧力差」のマネジメント
機械は複雑に見えますが、やっていることはシンプルです。
- EPAPで肺を開き(酸素)
- IPAPで背中を押す(換気)
この2つの圧の「差(ΔP)」こそが、患者さんの呼吸をサポートする力になります。



呼吸器はたくさんの横文字で難しそうに見えるけど、
実はとてもシンプルなんだよ。





