「血ガスは苦手」を卒業!CEが教える、酸素療法の効果を即断する技術

目次

数値の「音読」から「判断」へ

「pHが〇〇で、PaCO₂が△△で……」

検査結果を読み上げて終わっていませんか?

血液ガス(ABG)は、患者さんから届く
**“呼吸の通知表”**です。

教科書は正常値を教えてくれます。でも現場で必要なのは、

この結果で、次にどう動くか。

この記事では、
「血ガスをどう読むか」ではなく
**「血ガスをどう使うか」**を解説します。

みなみ

大事なのは数値そのものじゃない。その数値が、患者さんのどんな“しんどさ”を表しているかを見抜くことだよ。


1.PaO₂(酸素化)|“実力”を見抜け

よくある説明:
「PaO₂が60未満は低酸素血症」でも現場で見るべきはそこじゃない。

見るべきは、

どれだけの酸素を使って、その数字か。

例えば、酸素5L(FiO₂ 約0.4)でPaO₂ 60なら、それは決して軽症ではありません。

そこで使うのが P/F比


P/F比 = PaO₂ ÷ FiO₂

  • 300以上:正常。
  • 200以下:黄色信号!リザーバーやHFNCへのランクアップを検討。
  • 100以下:赤信号。挿管管理がチラつくレベル。

P/F比は
「肺の実力テスト」

酸素を増やせばPaO₂が上がるのは当然。
でも自力でどれだけ取り込めているかは、P/F比でしか見えません。

P:F比をバケツと水を使って解説

2. PaCO₂(換気):呼吸数とセットで見よ

正常は 35〜45 mmHg。

でも、ここで止まってはいけません。

見るべきは、

PaCO₂ × 呼吸数。

PaCO₂が40(正常)でも、呼吸数が30回ならどうでしょう?

それは“必死に頑張って、ようやく正常を保っている状態”。


【ここが重要】

数値が正常でも、患者さんが必死なら“限界寸前”。その代償が破綻すれば、PaCO₂は一気に上がります。

酸素を足すだけではなく、

・圧で助ける(NPPV)
・流量で助ける(HFNC)

という選択肢が見えてきます。


3.pH(酸塩基)|“体力”を見抜け

pHは、体がどこまで耐えられているかを示します。

  • 7.35以上:まだ代償できている
  • 7.30以下:危険域
  • 7.25未満:時間がない

PaCO₂が高くても、pHが保たれていれば慢性の可能性があります。

でもpHが崩れているなら、それは急性のサイン。デバイスのランクアップを真剣に考える数字です。

酸素療法で限界なら次はこれ


4.血ガス即断フレーム

血ガスを見る順番はこれ。

順番見る項目判断すること次のアクション
P/F比酸素を取り込む実力濃度?デバイス変更?
PaCO₂換気の余裕圧や補助が必要?
pH体力の限界様子見?即報告?

血ガスは
正解を出すための検査ではない。

治療の方向性を決める
コンパス。


みなみ

「『苦しそうです』と報告するより、
『P/F比が200を切り、pHも下がっています。HFNCへの切り替えを検討しませんか?』
と言える人は強い。
血ガスは、提案の根拠になる


まとめ|血ガスは「線」で見る

血ガスは“点”ではありません。前回との比較という“線”で見る。酸素化は改善した。でもpHが下がっている。

それは、患者さんがより頑張っているということ。

その変化に気づければ、あなたの呼吸管理は一段上がります。

もっと深く原因を探るならこちら


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この記事を書いた人

現場で働く臨床工学技士(CE)13年目。3学会合同呼吸療法認定士を取得しています。
看護師さんから
「これってどういうこと?」
と聞かれる瞬間が、実は一番うれしかったりします。

自分がつまずいたこと、失敗したこと、そして「難しい」と感じたポイントを中心に、現場で本当に役立つエッセンスだけを凝縮して解説しています。
趣味はロードバイクとスノーボード、そしてブログ執筆。
このブログが、
「今さら聞けない」を整理するきっかけになればうれしいです。

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