酸素療法は「量」ではなく「目的」で決める〜酸素療法シリーズ・まとめ〜


目次

「どのデバイスか」の前に、考えるべきこと

僕が後輩と病棟を回る時に必ず聞くことは、「このデバイスで何がしたいんだと思う?」です。

本当に意地悪ですよね?笑

低流量か、高流量か。リザーバーか、HFNCか。現場には多くの選択肢があります。でも本当に大切なのは「どれを使うか」ではありません。

その治療は、何を解決しようとしているのか。

酸素療法は単なるデバイス選びではなく、**「患者さんの呼吸をどう読み解くか」**というアセスメントの話です。

みなみ

デバイスの選択や流量は医師の指示にある。
でも、その“意図”を理解して観察できる人は、現場で確実に信頼されるよ。

低流量と高流量の考え方はこっちにまとめてるよ

1.これまでの振り返り:目的別のデバイス整理

酸素療法デバイスの考え方フローチャート

このシリーズで扱ってきた内容を、目的ごとに整理します。

低流量酸素
足りない酸素を「補う」。

高流量酸素
酸素化をより確実に「支える」。

リザーバーマスク
高濃度酸素で酸素化を最優先する。

HFNC
酸素化に加え、「呼吸仕事量を軽減する」。

CO₂ナルコーシス
酸素は換気にも影響を与える。

こうして並べると見えてくるはずです。

酸素療法は、“酸素(ガス)”だけの話ではない。


2.本当の問い:いま、この患者さんに足りないのは何か?

医師の指示の裏側にある「目的」を考えてみましょう。

いま、この患者さんに足りないのは何か?

・酸素分圧(PaO₂)を上げたいのか
・換気量(CO₂排出)を維持したいのか
・呼吸仕事量を減らしたいのか
・次の治療までの時間を稼ぎたいのか

ここを見誤ると、デバイス選択はただの作業になります。

目的が定まれば、選択は自然と決まります。


3.SpO₂の「裏側」を読む力

SpO₂が上がると、私たちは安心します。

しかし、

SpO₂は“結果”。
呼吸様式は“過程”。

呼吸管理の本質は「酸素の管理」ではなく、換気と努力の管理です。

【数字に惑わされないために見るべき項目】

・呼吸数、呼吸様式
・努力呼吸の有無
・意識レベル
・血液ガス(pH・PaCO₂の推移)

数字を追うだけでなく、その数字を維持するために患者さんがどれだけ頑張っているかを見る。

そこに専門職としての価値があります。

みなみ

とりあえず酸素を上げる”ことが悪いわけじゃない。
大事なのは、その後に“なぜ変化したのか”を考え抜くこと。

みなみ

『この患者さんは今、何に困っているのか?』
その問いを一つ持つだけで、呼吸管理は驚くほどクリアになるよ。

血液ガスについてはこちら


思考は、次のステージへ

酸素療法は、侵襲的呼吸管理の一歩手前です。

ここで整理した
「酸素化」「換気」「呼吸仕事量」という柱は、

NPPV、PEEP、人工呼吸器、換気モードの理解へと繋がっていきます。

酸素療法は入口。

でも、ここで思考を整えておくと、その先は驚くほど迷わなくなります。

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この記事を書いた人

現場で働く臨床工学技士(CE)13年目。3学会合同呼吸療法認定士を取得しています。
看護師さんから
「これってどういうこと?」
と聞かれる瞬間が、実は一番うれしかったりします。

自分がつまずいたこと、失敗したこと、そして「難しい」と感じたポイントを中心に、現場で本当に役立つエッセンスだけを凝縮して解説しています。
趣味はロードバイクとスノーボード、そしてブログ執筆。
このブログが、
「今さら聞けない」を整理するきっかけになればうれしいです。

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