モードの多さに騙されないで
人工呼吸器の画面を見ると、VC、PC、SIMV、PSV……アルファベットの羅列に頭が痛くなりますよね。
でも、安心してください。
どれだけ機種が変わっても、突き詰めればチェックポイントは**「2つ」**しかありません。
- 何を一定にするか?(「量」を守るのか、「圧」を守るのか)
- どこまで患者に任せるか?(「全部」やるのか、「手伝う」だけか)
ここさえ押さえれば、どんなモードも怖くありません。
① 「何を」コントロールするか?(VC vs PC)
まずは、呼吸の「何」をコントロールするのか、その2大勢力です。
■ VC(Volume Control:従量式)
- 守るもの:1回換気量(VT)
- 特徴:設定した「量」を、肺が硬かろうが柔らかかろうが、絶対に押し込みます。換気量を確実に担保できることが強み。CO₂を確実にコントロールしたい場面では有効。
- リスク:肺が硬い(コンプライアンス低下)患者さんだと、設定した量を入れるために**「圧」が跳ね上がり、肺を壊す(気圧外傷)**可能性があります。
- みなみの視点:気道内圧アラームには一番敏感になるべきモードです!
■ PC(Pressure Control:従圧式)
- 守るもの:吸気圧(Pressure)
- 特徴:設定した「圧」以上はかからないので、肺保護を意識した管理がしやすい。ARDS(重症呼吸不全)の第一選択です。
- リスク:肺の状態が悪くなると、設定圧では空気が入らず、「換気量」がガタ落ちする可能性があります。
- みなみの視点:こっちは「一回換気量(モニター値)」の変化に目を光らせる必要があります!

どちらが正しい?
よくある誤解。「VCは危険」「PCは安全」そうではなく、
VCでも肺保護換気はできるし、PCでも過伸展は起こる。守れるのは設定したものだけ。
大事なのは、「何を設定したから、何の変化に注意する必要があるか」です。
この視点を持つだけで、モードは整理できる。
② 「どこまで」患者に任せるか?(強制・同期・自発)
「何を」決めたら、次は「誰のタイミングで」息を吸うかを決めます。 ここは、**「主導権をどこまで機械が握るか」**のグラデーションで考えるとスッキリします。
1. CMV(Continuous Mandatory Ventilation:持続的強制換気)
- スタンス:完全強制(主導権 100:0)
- 患者さんの自発呼吸を無視して、設定した回数・量を「定時」に送り込みます。
- どんな時?:鎮静を深くかけている時や、脳卒中などで自発呼吸がない時。まずは呼吸を一定にして「完全に肺を休ませる」ためのモードです。
2. A/C(Assist Control:アシストコントロール)
- スタンス:同期・フルサポート(主導権 50:50〜100)
- 基本はCMVと同じですが、患者さんの吸気努力を合図(トリガー)に、即座にそれに合わせて設定した量または圧でサポートします。
- 注意:患者さんの換気回数が多すぎると、換気量がどんどん増えて過換気になることも。
3. SIMV(Synchronized Intermittent Mandatory Ventilation)
- スタンス:強制と自発のハイブリッド(主導権 自由自在)
- 設定した回数分は「強制(サポートあり)」、それ以上の呼吸は「自発(サポートなし、またはPSのみ)」と、役割を分けます。
- 現状:以前は主流でしたが、現在は「患者さんが呼吸を使い分けるのが大変で疲れやすい」という考えから、少しずつ出番が減っています。
4. PSV(Pressure Support Ventilation)
- スタンス:自発のみ(主導権 ほぼ患者)
- 機械は勝手に息を入れません。患者さんが吸い始めた時だけ、設定した圧で「ヨイショ」と背中を押すだけ。
- どんな時?:自発呼吸が安定している時や、抜管(チューブを抜く)前の自発優位にしたいときに使います。
🧠 モード整理の「マトリクス」
迷ったら、この表を脳内に召喚してください。
| 何を守る? | 強制換気(A/C) | 混合(SIMV) | 自発のみ(PSV) |
| 量を規定 | VCV(A/C) | VC-SIMV | - |
| 圧を規定 | PCV(A/C) | PC-SIMV | PSV |
🧭 まとめ:モードは「対話の道具」
モードは、患者さんの肺の状態と、どれだけ本人が頑張れるかによって使い分ける「対話の道具」です。
- 肺をしっかり休ませたい、管理したい → A/C
- そろそろ自分で頑張ってもらいたい → PSV
「今、何のためにこのモードなのか?」
それを考えるだけで、モニターの数字が「意味のあるメッセージ」に変わるはずです。
みなみ「VCなら圧の変化を、PCなら量の変化を確認。
これ、CEやナースが人工呼吸器の確認でチェックすべきポイントだよ。
次回は、具体的にどうやって肺を守る設定値を決めるのか、掘り下げていこう!」




